基本的なエクセルの確認から
足し算
計算問題の作成を通じて、基本的なエクセルの使い方から確認していきます。
まず、「数式」を使ってみましょう。エクセルでは足し算「+」、引き算「-」、掛け算「*」、割り算「/」の四則演算の他、様々な関数(平均値や合計の計算、ここで使用する乱数の発生など)が用意されています。数式の入力は「=」から始めます。
では、足し算の問題を作っていきましょう。
「A1」セルの数字と「C1」セルの数字を、「E1」セルで足し算しています。「E1」セルには「=A1+C1」と数式を入力します。
そして、次が問題を自動で作る「肝」になります。ファイルを開くたび、編集のたびに勝手に数字を変えてくれるとても便利な関数「RANDBETWEEN関数」の説明です。
RANDBETWEEN関数は、指定した数字の範囲内で整数の乱数を発生させる関数です。例えば、指定したセル(ここでは「D1」セル)に1~100の間の数字を自動で一つ表示したいときは、「D1」セルに「=RANDBETWEEN(1,100)」と入力すると1~100の間の整数を一つ表示します。
これで、準備が整いました。それでは簡単な足し算のプリントを作ってみましょう。
「A1」セルと「C1」セルに「=RANDBETWEEN(1,10)」と入力します。「B1」セルには「+」、「D1」セルには「=」を入力して問題に見えるようにしましょう。
あとは、この問題をコピペして、見た目を整えれば完成です。
ポイントは数字は大きく(24~28ptくらいをよく使います)、問題が詰まりすぎないように一行飛ばしでペーストし、行の幅を調整します。
行の幅を一度に整えたい場合は、各行の番号を「Ctrl」キーを押しながら、選択します。それから、どれか一つの行の幅を変更すれば、選択した全ての行の幅が揃います。
これで、足し算のプリントが作れました。
引き算
続いて、引き算のプリントを作りましょう。
引き算は少しコツがいります。足し算(X+Y)と同じように、引き算(X-Y)を作ってしまうと「X<Y」のときにマイナスになってしまうからです。
そのため、次のように作ります。「A1」セルに「=C1+E1」、「C1」セルと「E1」セルに「=RANDBETWEEN(1,10)」と入力します。
同じようにこれを問題数だけコピペして、体裁を整えます。
これでは、答えが表示されてしまっているので、
答えのE列を選択して、文字の色を「白」にしてしまいます。これで見えません。
虫食い算
白くする列を変えれば、
虫食い算の完成です。答えの欄がわかりやすいように外枠を太くしています。
掛け算
掛け算は、足し算と同じように、
「A1」セルと「C1」セルに「=RANDBETWEEN(2,9)」(例:一桁の九九の問題)と入力して、コピペで問題数分作って、体裁を整えれば完成です。
割り算
割り算は、引き算と同じように、
「C1」セルと「E1」セルに「=RANDBETWEEN(2,9)」(例:九九で解ける問題)、「A1」セルに「=C1*E1」と入力して、コピペで問題数分作って、答えの欄の文字を白くして、体裁を整えれば完成です。
これで、四則演算のプリントがいくらでも作れます。
※注意点:エクセルが勝手に数字を作るので、同じ問題が複数回出てくることがあります。そのときは、ファイルを開きなおすか、一度編集モード(どこかのセルでダブルクリック)にすると問題が作り直されます。
ひと工夫!患者さんに合わせて、柔軟に数字の大きさを変えたい!
ここからは少しステップアップですが、ひと工夫でさらに使いやすくなります。
患者さんごとに、あるいはリハビリの進行に合わせて計算問題の難易度は変えたいものです。ただ、つどつど、RANDBETWEEN関数の数値を変えるのは手間です。
そこで、ひと工夫。
ここではRANDBETWEEN関数を使ってきました。この関数は最小値と最大値で発生する整数の範囲を決めていましたね。それをわかりやすく調整できるようにしたいと思います。
関数のパラメータ、ここでは最小値と最大値は、数式に「直打ち」する必要はありません。他のセルの数値を読み込むことができます。
このように「=RANDBETWEEN(B2,C2)」とすれば、最小値は「B2」セルを、最大値は「C2」セルの値を読みに行きます。
これを使って、
一括で数字の範囲を設定します(印刷範囲外に。)
ここでは、足し算(a+b)のa項の最小値を「H3」セル、最大値を「I3」セルに設定しています。b項の最小値を「J3」セル、最大値を「K3」セルで設定しています。
※注意点:「H3」セルに「$H$3」のように「H」と「3」のそれぞれの前に「$」がついています。これは例えば、数式を別のセルにコピペしたときにも必ず「H3」セルを見に行きなさいという意味になります。これを絶対参照といいます。ここでは、数式をコピペして問題を作っていくため、「$」を忘れずに付けてください。
これを組み合わせて、
柔軟に難易度が変えられ、都度違う問題を自動生成するエクセルの完成です。
お疲れさまでした。
<2022.11.24追記>
サンプルファイルを載せました。こちらからダウンロードしてください。