離散型の抹消課題
前回はシンプルな横並びに連続した抹消課題を作りました。
横並びに連続していると走査の方向が誘導されます。
今回は少し走査の方向がばらけるように、またボトムアップでより視線を誘導したりと、アレンジできるようにしたいと思います。
先に言ってしまうと、エクセルは表形式をとっている以上、完全に離散した配置にすることは難しいです。ただ、適度に余白を作り走査の方向が一方向にならないようにしたいと思います。
そのために、条件付き書式を使用します。
まずは一番シンプルに、以下のような、ただ一つの記号が少しばらけて配置される課題を作成します。
はじめに、用紙範囲いっぱいに記号(ここでは「●」)を配置します。
次に、今配置した「●」のフォントの色を白くしてしまいます。
次に、メニューの「ホーム」にある「条件付き書式」を設定します。
条件付き書式とは、任意に設定した条件によって書式を変えられる便利な機能です。
では、順を追って説明します。
まず「新しいルール」を作成します。「ホーム」のメニューから「条件付き書式」を選択してください。
今回は、数式を使用して書式を設定します。
ルールに「=IF(RANDBETWEEN(1,5)=1,TRUE」と入力してください。
IF関数は、IF(論理式,論理式が真の場合,論理式が偽の場合)と定義され、「もし論理式が成立したら、真の場合の値を返します、そうでなければ偽の場合の値を返します」という意味になります。偽の場合は設定しなくても構いません。
改めて。「=IF(RANDBETWEEN(1,5)=1,TRUE」の場合、もし「RANDBETWEEN(1,5)=1」が成立すれば「TRUE」を返し、書式が設定されます。成立しなければ、書式は変わりません。
RANDBETWEEN関数については四則演算を参照ください。これで、5個に1個くらいの頻度で条件が成立し、書式が設定されます。
さて、次いで書式の設定です。書式ボタンを押してください。
ここで、フォントの設定ができます。今はフォントの色を「黒」にします。
作成した条件付き書式の適用範囲を設定します。
これで、ただ「●」がばらけて配置されるシンプルな抹消課題が完成です。
ちなみに、色の組み合わせで視線を誘導しやすくしたりと、難易度を変えることも可能です。
下図はベースを黄色にして、書式設定のルールを「RANDBETWEEN(1,10)=1」と1割程度の確率で黒になるようにしています。
異なる記号が混在した離散型抹消課題
続いて、複数種の記号を混ぜてみます。
まずは3種類の横並びの抹消課題を作成します。作り方は抹消課題を参照ください。
次に、フォントの色を白にします。
そして、「条件付き書式」で先ほどと同様に新規ルールを作成します。数式でルールを設定し、ルールを満たした場合のフォントの色を設定してください。今回は「RANDBETWEEN(1,3)=1」と少し出現頻度を上げています。
これで、複数の記号が混じる離散型の抹消課題の完成です。記号の組み合わせで干渉の調整ができます。
さらに次のように複数の条件付き書式を設定すると、カラフルになります。
ルールは「=IF(RANDBETWEEN(1,6)=1,TRUE)」「=IF(RANDBETWEEN(1,6)=2,TRUE)」「=IF(RANDBETWEEN(1,6)=3,TRUE)」と設定しました。
これで多色の複数記号の離散型抹消課題の完成です。
例えば、「赤い星と青い音符を探す」など使い方でワーキングメモリにも負荷をかけられると思います。
ストループ課題
ここまでできれば、簡単にストループ課題も作れます。
まず次のような色名の横並びの抹消課題を作成します。作り方は抹消課題を参照ください。
ここでポイントです。ターゲットにした色名の一色でフォントの色を設定します。
そして、先ほどの抹消課題と同じように、複数の条件付き書式を設定します。
ルールは「=IF(RANDBETWEEN(1,3)=1,TRUE)」「=IF(RANDBETWEEN(1,3)=2,TRUE)」「=IF(RANDBETWEEN(1,3)=3,TRUE)」とし、3色分のフォントの設定をします。
これで、完成です。
サンプルファイルを載せます。ここからダウンロードしてください。
お疲れさまでした。